「儲けたいなら科学なんじゃないの?」堀江貴文×成毛眞

儲けたいなら科学なんじゃないの?

儲けたいなら科学なんじゃないの?

ホリエモンの愛称で有名な堀江貴文氏と元マイクロソフト社長成毛眞氏の二人が、科学の分野こそビジネスチャンスに満ちていることを対談形式で語りあう。堀江氏は現在、ライブドア関連の証券取引法違反で懲役2年6か月の実刑判決を受け長野刑務所に収監されている。堀江氏はこのライブドア事件のイメージばかり報道されていたが、民間企業としてロケット打ち上げビジネスに真剣に取組んでいるという一面も持つ。最新技術の開発が目的ではなく、既存の技術をトレースしてより安価な材料・方法で1000万の予算でロケットを打ち上げようという試みだそうだ。だから、ホームセンターで市販されているビスをロケットの部品として使えるかというようなことをやっている。誰もやろうとしないから自分でやってやろうという発想だ。

ロケット打ち上げがビジネスになるのか?ロケット打ち上げのようなお金がかかり、難しいことは、民間ではなく国がやるものだという常識を打ち壊してくれる。大学の研究室で各種の調査衛星を開発しているが、これを打ち上げるロケットが圧倒的に不足しているのだ。そして、そのロケットは高価であり多数製造されているものではない。これを安価に供給することで、とんでもない発想の人物が宇宙ビジネスに容易に参入してくるようになることを期待している。

そんな宇宙ビジネスの可能性のひとつとして、成毛氏はロケットで複数のチタン玉を打ち上げ人工衛星で軌道上にストックし、流れ星として放出するサービスが1回あたり1000万で売れるのでは?と提案。二人の間では、米国なら必ずこの人工流れ星を買う奴がいるはずだと盛り上がっている。高層ホテルの窓際で夜空を眺めながら、「それでは、ボクがひとつ流れ星を降らせてみせましょう。」と、人工衛星からそれに合わせてチタン玉が発射され、夜空に流星がスーツと輝き、「オーッ」という仕掛け。とにかく発想は、JAXAのような真面目な機関の研究者からは絶対出てこないだろうという。まったくそのとおりである。

二人とも経歴を見ると文系であるが、堀江氏はロケットのタンクの液体燃料充填の問題解決などに取り組んでいく過程で、科学知識を身につけていったという。堀江氏は自分で打ち上げようとしているロケットについての知識は全て習得してしまったらしい。ビジネスマンとして成功者である成毛氏も、成功したいならビジネス書ではなく科学書を読むことを薦めている。文系も理系もともに想像力が不足していることを懸念している二人なのだ。

二人の談議は、宇宙ビジネスから水資源問題、遺伝子と果てしなく広がって行く。本書は堀江氏の宇宙ビジネスについて、成毛氏が質問をするカタチで始まるのだが、話しは完全に成毛氏の「大人気ない大人」のノリで盛り上がり世界は面白いサイエンスであふれているとまとめている。こちらも科学書を読もうとついノセられてしまうのが本書だ。